2本のインドネシア映画が上映される第28回東京国際映画祭
「第28回東京国際映画祭(28th Tokyo International Film Festival)」が2015年10月22日(木)~31日(土)に開催されます。
今年は、六本木ヒルズをメイン会場に新宿の映画館や歌舞伎座、フィルムセンターでも映画上映が行われます。そして、企画、上映本数もパワーアップ。
インドネシア関連としては、アジアで作られた新鋭監督の1本目または2本目の長編作品を対象にしたコンペティション部門「アジアの未来」部門で『三日月』(2015年)が上映されます。
また、世界各国の話題作を取り上げる「ワールド・フォーカス」部門では、『民族の師 チョクロアミノト』(2015年)が上映されます。
父と子のロードムービー『三日月』
『三日月』は、父と子のロードムービーに宗教的な不寛容という現代的な問題を盛り込んだ作品。 インドネシア新鋭のイスマイル・バスベス監督による、 『月までアナザー・トリップ』(アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015出品)に続く長編第2作です。
イスラム暦は太陰暦であり、月が隠れる期間のあとに月が見えた時点で暦月が切り替わる。この「新しい三日月の初見」は重要な行為であり、地域の長老たちがそれを行う――本作の背景にあるこうした事情を頭に入れておこう。敬虔なムスリムのマフムドは新しい月を初見するため、月の見える縁の地を半世紀ぶりに訪れようと計画する。家族は体調の悪い彼のことを心配し、海外へ出る直前だった息子のヘリを無理やり同行させることにする。ヘリは父と価値観が合わず、ふたりは道中すれ違いを繰り返すが、ある村でイスラム原理主義グループがキリスト教のミサに乱入するところに居合わせたヘリが負傷する。この事件をきっかけにヘリは信仰について考えはじめ、父との関係も変わっていく。はたして父子は月を見ることが叶うのか…。インドネシアの新鋭イスマイル・バスベスの、『月までアナザー・トリップ』(アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015出品)に続く長編第2作。父と子のロードムービーに宗教的な不寛容という現代的な問題を盛り込んでいる。
三日月 - 第28回東京国際映画祭
イスマイル・バスベス監督は、1985年インドネシア生まれの新鋭監督です。バンドンでインドネシア伝統音楽を学んだ後、ジョグジャカルタでコミュニケーション科学を学び、初の短編作品『Hide and Sleep』(2008)を手掛けています。 現在は、独創的な制作会社Hide Project Filmsおよび創作ラボBosan Berisik Labの代表も務めています。
なお、2回の映画上映後には、監督が登壇してQ&Aも予定されています。
『三日月』上映スケジュール
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日時:10月28日17:30~ (本編94分)
劇場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN1
※映画上映後に登壇ゲストの予定有り:イスマイル・バスベス(監督/脚本) -
日時:10月29日17:20~ (本編94分)
劇場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN8
※映画上映後に登壇ゲストの予定有り:イスマイル・バスベス(監督/脚本) -
料金:一般料金:1300円(税込)、学生料金:1000円(税込)、学生当日料金:500円(税込)
※チケットの販売はチケットボードで購入にて。
チケット購入方法
『三日月』予告編
『三日月』作品データ
- タイトル
- 邦題:三日月 / 英題:The Crescent Moon / 原題:Mencari Hilal
- 監督
- イスマイル・バスベス
- 脚本
- イスマイル・バスベス
- キャスト
- デディ・ストモ、 オカ・アンタラ、 他。
- 製作年/製作国/言語
- 2015年 インドネシア ンドネシア語・ジャワ語
- 上映時間
- 94分
インドネシア民族主義運動の指導者を描いた『民族の師 チョクロアミノト』
『民族の師 チョクロアミノト』は、インドネシア民族主義運動の指導者・チョクロアミノト(1882-1934)を描いた人物評伝映画。 インドネシアの名女優クリスティン・ハキムがタンベンおばさん役で出演している点も注目。なお、彼女はプロデューサーも兼ねています。
チョクロアミノト(1882-1934)は東ジャワ出身のインドネシア民族主義運動の指導者で、上級貴族の家に生まれて官吏となったが腐敗に耐えられず3年で退官。1910年代にサレカット・イスラム(イスラム同盟)のリーダーとして活躍し、とくに雄弁術の才で勢力の拡大に貢献。のちの大統領スカルノらにも影響を与えた。ガリン・ヌグロホ監督は『スギヤ』(TIFF13出品)でインドネシア人初のカトリック司教、スギヤプラタナを描いたが、本作はそれに続く人物評伝の第2弾である。チョクロアミノトを取り上げた理由として、「建国の父たちの多くは行動的文化人として世界から尊敬され、たとえばチョクロアミノトは演説家・作家・舞踏家であった」(コンパス紙)といった意味の発言をしており、イスラム原理主義が強まる傾向に対して映画的な抵抗を試みている観が強い。なお、女優クリスティン・ハキム(『眠る男』)がタンベンおばさん役で出演し、プロデューサーも兼ねている。
民族の師 チョクロアミノト -第28回東京国際映画祭
同作品を手掛けたガリン・ヌグロホ監督は、インドネシア映画界が危機的状況に瀕していた時期に、ポスト90年代世代で、唯一映画を作る勇気のあった人物として知られているそうです。これまでに、インドネシアの各地域にまつわるデリケートな題材を描いており、1900年から2013年までのインドネシア映画についての批評本も出版しています。
『民族の師 チョクロアミノト』上映スケジュール
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日時:10月24日10:25~ (本編161分)
劇場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN9 -
日時:10月25日20:20~ (本編161分)
劇場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN9 -
日時:10月26日13:50~ (本編161分)
劇場:新宿バルト9 シアター2 -
料金:一般料金:1500円(税込)、学生料金:1000円(税込)、学生当日料金:500円(税込)
※チケットの販売はチケットボードで購入にて。
チケット購入方法 - インドネシアトル
- 邦題:孤島の葬列 / 英題:The Hijra / 原題:Guru Bangsa Tjokroaminoto
- 監督
- ガリン・ヌグロホ
- 脚本
- アリ・シャリフ、エリック・スピッ
- キャスト
- レザ・ラハディアン、 チェルシー・イスラン、 タンタ・ギンティン、 デファ・マヘンラ、 イブヌ・ジャミル、 プトゥリ・アユディヤ、 クリスティン・ハキム、 他。
- 製作年/国/言語
- 2015年 インドネシア、インドネシア語
- 上映時間
- 161分
- 開催時期:2015年10月22日(木)~31日(土)
- 開催場所:六本木ヒルズ(東京都港区六本木6-10-1)
TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区六本木6-10-2六本木ヒルズけやき坂コンプレックス内)
TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区歌舞伎町1-19-1新宿東宝ビル3階)
新宿バルト9(東京都新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル9階)
新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3丁目15番15号)
東京国立近代美術館フィルムセンター(東京都中央区京橋3-7-6)
歌舞伎座(東京都中央区銀座4-12-15) - 主催:公益財団法人ユニジャパン
- 共催:国際交流基金アジアセンター(アジア映画交流事業)
東京都(コンペティション部門) - 公式サイト:第28回東京国際映画祭
- Facebook:東京国際映画祭 (東京国際映画祭 TOKYO INTERNATIONAL FILM FESTIVAL)
- Twitter: @tiff_site 東京国際映画祭
- チケット購入方法
『三日月』上映スケジュール
『民族の師 チョクロアミノト』予告編
『民族の師 チョクロアミノト』作品データ
第28回東京国際映画祭の概要
2015年10月22日(木)~31日(土)の期間、開催される「第28回東京国際映画祭」。今年は、従来の六本木ヒルズに加え、新宿エリアの映画館が新たに会場として追加されています。
期間中は「東京 サクラ グランプリ」を選出する同映画祭のメイン部門である「コンペティション」をはじめ、日本未公開のエンタテインメント最新作をプレミア上映する「特別招待作品」、 独創的な日本のインディペンデント映画作品に焦点を当てた「日本映画・スプラッシュ」、 世界各国の話題作を取り上げる「ワールド・フォーカス」、 あるいはアジア(日本、中東地域を含む)で作られた新鋭監督の1本目または2本目の長編作品を対象にしたコンペティション部門「アジアの未来」などがあります。
そして、昨年から国際交流基金アジアセンターがアジアの国、監督、俳優、テーマなどに焦点を当てた「CROSSCUT ASIA」(クロスカット・アジア)部門が東京国際映画祭内に創設。アジアを鋭く切り取った珠玉の映画を紹介するアジア映画の特集上映が行われます。第2回の今年は、新たな黄金期を迎えたフィリピン映画を 「熱風!フィリピン」として特集! フィリピン映画が合計10本、一挙に上映されます。
さらに今年から新たに3つの部門が新設され、よりパワーアップしています。 ドキュメンタリーやアニメーションなどバラエティ豊かな様々なタイプの最新作をプレミア上映する「パノラマ部門」、新進気鋭から老練監督の作品まで今の日本映画が持つ大きな可能性と意欲を国内外に発信する「Japan Now部門」、そして最新技術を駆使してデジタル・リストアされた日本映画史を彩った名作を上映する「日本映画クラシックス部門です。